人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ディレクター込山正徳の個人的ぼやき


by papanamida

暗闇の世界・・・・。

先日、NHKスペシャルで
「命をめぐる対話 “暗闇の世界”で生きられますか」
というドキュメンタリーを放送していた。
これが、恐ろしくシリアス、暗い番組でしたよ。こんな絶望的に暗いものを
世の中が浮かれた連休の真ん中で放送するとは、NHKは、ぶっ飛んでいる。
それでも視聴率を確認したら7パーセントも取っている。これは立派な数字と思う。

以下大雑把な内容・・・。NHKから抜粋。

もし、あなたが意識ははっきりしているのに、しゃべることも体を動かすことも出来ず、
自分の意思を他人に伝えることが困難になったらどうしますか?
ある種の難病や脳損傷の患者の中に、こうした
「閉じ込め症候群」や「閉じ込め状態」
と呼ばれる究極のいのちの状態に陥る人が増えている。
全身の筋肉が動かなくなる難病を患う照川貞喜さんは、頬のわずかな動きをセンサーに
感知させることで意思を伝えている。
しかし、照川さんが頬でパソコンを操作して綴った要望書が、今、大きな波紋をよんでいる。
「完全な“閉じ込め状態”になったら死なせてほしい。
闇夜の世界では生きられない。
人生を終わらせることは“栄光ある撤退”であると確信している」

照川さんの要望に我々はどう答えればいいのか。人間が生きるとはどういうことか。
照川さんの訴えに深い関心を抱いたノンフィクション作家の柳田邦男さんが、
照川さんを訪ね、「いのちとは何か」を巡って半年にわたって対話を行った。

とある。

興味深かったのは、柳田邦男さんが、照川さんに
「家族や社会のためにも生きることが価値のあることだ」
というように伝えると、照川さんは、こうゆう文章で返した。
「柳田さん意見がわかりません。家族のために生きるのは酷な話です」と。

柳田さんの息子は自殺で命を絶っている。そんなことも起因してなのか彼は、
「人間は、なんとしても生き抜くべきだ」という主張を持っている。

私は、柳田さんの主張を「健康で生きている人間のちょっと身勝手な意見」だと思った。
「闇の中で生き続ける辛さ」への想像力が欠けていると感じる。

随分と、卑近な例を挙げさせていただくが、数年前に私はバイク事故にあって両足を損傷した。
右足は骨折、左足はざっくり切った。その日に全身麻酔で手術。
意識が戻るとベッドに身体が固定され、(麻酔で動けなかったのかも) 尿道に管を通され、
半分植物状態みたいな感じで24時間以上。寝返りもうてない。
寝返りがうてないことの辛さというのは、半端ではないのですよ。腰、尻あたりの痛みが、永遠と果てしなく続く。
意識はあるから、「なんとかしてくれ!!」って心の中で叫び続けていましたよ。
(ちなみに、今はちゃんと歩けます。走れます。バイクは妻から禁止されました)

柳田さんも、シミュレーションで植物状態を経験してみたらよかったのに。
流動食を胃に送られ、うんこ、おしっこを奥さんにやってもらって口もきけず、寝返りもうてない状態を
3日続けたら、「もうカンベン、死なせてください」って懇願するはずですよ。
そんな簡単に「人は命を存続していることが重要だ」なんと軽口叩けないはずですよ。

ちなみに、私は柳田さんの著作を何冊か拝読しておりまして、尊敬する大先輩だと思っています。
生意気なこと書いてしまって失礼しました。ゴメンナサイ。
この番組は柳田さんの意見があってこそ、問題定義が明確になった。
柳田さんが、患者と交わす構成が、功を奏していた。

前にも書きましたが「海を飛ぶ夢」っていうスペイン映画は、このようなテーマで傑作でした。
「潜水服は蝶の夢を見る」という映画も、このテーマだったが、私は「海を飛ぶ夢」のほうが好きだ。

私が、 「閉じ込め状態」になったら、すぐに死なせてくださいね。

下のをポチッと押してください。

にほんブログ村 テレビブログ プロデューサー・ディレクターへ
にほんブログ村にほんブログ村 オヤジ日記ブログ お茶目オヤジへ
にほんブログ村にほんブログ村 その他日記ブログ 愚痴・ぼやきへ
にほんブログ村
by papanamida | 2010-03-27 03:00