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ディレクター込山正徳の個人的ぼやき


by papanamida

就職氷河期

朝日新聞の今日の一面、「大学生、終わりなき就活」という見出し。
来春卒業予定の大学生の就職内定率が、悪化して、62.5%だそうで、
そうとう大変だ、と伝えている。

数十社の面接を受け、落ち続け、未だに就職先が決まらなかったら、
「僕は社会から必要とされていないんだ」って
思い込みノイローゼになったりするようだ。
その気持ち、ちょっとだけ、わかるような気もする。

でも、翻って、自分の大学生の頃を思い出してみる。
当時の私の考えはこんな感じだったろう・・・・。
「就職したら、スーツ着て満員電車乗って通勤かあ。イヤだなあ。
 自分の映像作りのセンスで、どっか雇ってくれないかなあ。
 まあ、無理ならアルバイトしながら、世界放浪して写真と文章を書こう。
 旅のルポライターみたいのも面白そうだし。」


まず、ぜんぜん焦っていない。自分の好きなことが先決。
「社会から必要とされていない」なんていう論点で悩んでいない。
というか「社会に必要とされるよりも、自分が面白く生きられるかどうか」
だけを考えていたと思う。

当時、MTVが流行りだし、音楽と映像を組み合わせれば、なんか仕事につながるよな気がした。
大学4年、卒業制作では織田哲郎さんのプロモーションビデオを制作。
(織田さんは、その後、ザードのプロデューサーまた「おどるポンポコリン」の作曲家として、 超大物になってしまった。)

その織田さんのビデオは友人2人で気合を入れて作ったよ。
(その友人は茂野雅道くんといって今では、カンヌで賞を取った「萌の朱雀」の作曲家だ。)

織田さんのビデオ、当時としては結構かっこよくできていて、
その作品を持って、大学四年の年末、ある映像制作会社の面接に行ったよ。
ビデオを観た社長が、気に入ってくれたようで、すぐ採用ということになった。
そして明日からでもバイトに来い!といわれ、それから地獄の制作会社アルバイトに突入。
睡眠時間4時間くらい、ボロ雑巾のようにこき使われバイト代はスズメの涙。

「いくらなんでも、こんな生活はおかしい」と感じ卒業直前、社長に「辞めます」と言ったら、社長が激怒。
応接間のテーブルをひっくり返して
「込山、お前が一生、この業界で働けないように俺がしてやる。覚悟しろ!」
と脅された。なんでそんな、怒られるのか意味不明だが、清々した。

よって、大学の卒業の時には、内定の会社を辞めてしまっていたのである。
でも別段、焦らなかった。
結婚式のカメラマンのアルバイトをすれば一月20万円は稼げたから、
それでお金を貯めて、世界旅行に出よう、やったあ!!自由だあ!!ってな感じ。
お気楽なフリーター生活が始まった。

この時はドキュメンタリーなどの道に進むとは思ってもみなかった。

このような、私の経験・・と言ってもとても特殊な経験だろうが、
今の「就職氷河期」について、ちょっと思うことがある。

みんな「武器」をもっていないのではないか。自分は「これがデキル」という武器を。
大学4年間もあって、なんで武器を持っていないのか。
私の場合「映像作り」という武器と「意味不明な過剰な自信」あったから、なんとかなった。

それと、社会に対する根本的な考え方が違うと思う。私の考えはこうだ。

「社会なんて、お前なんか必要としていない。
 お前がつまづいても、誰も手を差し伸べてくれない。
 そんな砂漠をどう生き抜くかだ。自分しか頼るものなんて無い。
 会社なんて、一時的な集団だ。いつはじき出されるか判らない。
 就職できたから安心とか、出来ないから不安とか、そんなことではない。
 生きるやつは、生きる。死ぬやつは死ぬ。それだけだ」


なんだかサムライのようなカッコつけた言い回しになってしまいました。
かっこつけすぎです。すいません。
鶴田浩二が生きていたら、上記の台詞を言って欲しいものだ。

戦争を生き抜いてきた世代の人からしたら、今の就職氷河期なんて、
「あまい、あまい」でしょう。

いつの時代だって、みんな大変なのよ。
今の時代に生きているだけでも、儲けもんでしょ!!
by papanamida | 2009-11-20 13:18